2017/12/14
――この本のタイトルにある「糖質オフスイーツ」というフレーズを聞いたとき、最初に思ったのは、「大丈夫?」「おいしいの?」でした(笑)。「スイーツは甘くておいしいもの」というイメージを誰もがもっていると思いますが、まずはこの不安から払しょくしてもらえますか。
【O】実を言うと、私たちも企画段階では不安でした(笑)。でも、著者のともだかずこ先生から送っていただいた試作品を初めて食べたとき、その不安はきれいさっぱりと消え去りました。そして、「こんなに糖質が少ないのに、ここまでおいしくできるの!?」という驚きと感動に変わったんです。
【S】私も、実際にレシピどおり自分で作ってみて、マフィンもビスコッティも、ちゃんとおいしいスイーツとして出来上がったので、「これで糖質オフなら、かなり画期的な本になるな」という印象をもちました。
【O】ただ、今まで糖質量を気にしないで食べてきた市販のスイーツとまったく同じ味かと問われれば、答えはノーです。でも「ちゃんとおいしいです!」と自信をもって言えます。
【S】まあ、論より証拠ということで、これ食べてみてください!
――ビスコッティは、ほんのりとした甘みがありますね。マフィンは、まろやかな甘みが広がっていく感じ。どちらも優しい味で、うん、おいしいですね! おいしさが、じわじわと後から増してくるというか…。日ごろ、自分がいかに刺激の強いものを食べているのか気づかされますね。
【O】このおいしさはどこからきているかといいますと…。まず甘味は「ラカントS」という自然派甘味料からきています。また、小麦粉や大豆粉の代わりにアーモンドプードルを使うことで、このアーモンドプードルから木の実の風味が出ていて、おいしさを後押ししています。
【S】クリームチーズやバターなどほかの材料も、ともだ先生独自の分量になっており、コクやまろやかさが一層際立ったスイーツになりました。先生は、本書の制作中も、よりおいしく、より簡単に作れるようにと、何度も何度もレシピを見直してくれました。その結果、完成度の高い、こだわりの一冊になったと、私たちも自負しています。
――著者のともだ先生が、この本で一番伝えたかったことは、どんなことなのでしょう。
【S】糖質オフスイーツのレシピ自体を広めたいというのはもちろんですが、糖質オフのよさを多くの人に知ってほしいというお気持ちが根底にあったと思います。そのこともあって、本書は、糖質制限に詳しい医師の先生に監修していただき、巻末には解説も掲載しました。
【O】ですから、甘いものが好きで、いきなり糖質オフに取り組むのはハードルが高いなと思っている人に、糖質オフを始めるきっかけにしてもらいたい…という認識が、ともだ先生と私たちには共通してありました。
――スイーツも含めて、糖質オフの食品や飲料品は、今やいろいろと世の中に出回っていますが、あえて自分で作るメリットは何でしょうか。
【O】自分で作るとなると、どういう材料が使われているのかがすべてわかるので、安心感をもてますよね。防腐剤とか添加物なども一切使用しないので。それから、糖質オフに対する意識もより高まると思います。
――なるほど。この本の特長としては、どんなことがありますか?
【S】レシピ工程がシンプルでありながら、お菓子作りのコツをしっかり押さえているので、初心者にもわかりやすくなっています。
また、大豆アレルギーのある方や大豆臭さが苦手な人にもおすすめできます。ほかの糖質オフスイーツは、大豆粉やおから、豆乳などの大豆製品を使っているものが多いのですが、本書では一切使っていません。
【O】もうひとつ。糖質オフってそもそも何?とか、どんなメリットがあるの?といった、糖質オフに関する基本的な情報やメカニズムなどについても掲載していますので、本書を読んでいただくことで、糖質オフ初心者の方にも十分理解していただけると思います。
――ところで、2人の特におすすめのメニューを聞かせてください。
【O】私のイチオシは「ラズベリープリン」です! ラズベリーの甘酸っぱさとプリンの濃厚さのハーモニーが、もう絶妙なんですよ。ラズベリーはフルーツの中でも糖質量が低めなので、本書の中でもいくつかのメニューで使われているんですが、その中でも一番好きですね。見た目もかわいらしくて、テンション上がりました。
【S】私は、「ココナッツとレモンのパウンドケーキ」ですね。ともだ先生から試作品として送られてきたとき、そのおいしさに感激しました。自分でも作ったのですが、レモンの酸味とココナッツの風味のバランスがちょうどよく、しっとり感もあって、とっても好きです。
――この本の制作過程で苦労した点、思い出深い話などはありますか。
【S】会社で本書の制作作業に明け暮れる一方で、私たちも自宅でいくつも試作しました。苦労もしましたし、思い出深いです。やはり、どんな環境のどんな人でも、失敗せず、おいしいスイーツが作れなければいけませんので…。
【O】自分たちで作ることで、疑問点や改善点を見つけることもできて、ともだ先生と相談しながらレシピなどをブラッシュアップすることができました。
――ちなみに試作したスイーツを食べた家族の反応はどうでしたか?
【S】:私には小学2年生と5歳の子どもがいるんですが、とても喜んで食べていました。子どもたちはもちろん、糖質オフなどということはまったく知らずに食べていましたが、おいしいおいしいと言ってくれました。
――この本は2017年の9月末に発行されたわけですが、読者の反応などはどうですか?
【O】おかげさまで、アマゾンのスイーツ部門で1位になることができまして、読者の方のレビューや当社のフェイスブックの投稿などでも、「初心者の私でも難しくなかった」とか「想像以上においしくて感動しました」「子どもと一緒に作ってみて楽しかった」などのコメントをいただいて、編集部一同たいへん喜んでいます。
【S】インスタグラムやブログで検索すると、ご自分で作られたスイーツの写真をアップしてくれている読者の方もいて…。編集担当として、非常にうれしく思っています。
――今回の仕事で使った、あるいは日ごろ仕事で使っているユニークなツールなどがあれば紹介してください。
【O】「絵コンテ」を紹介します。これが、本書の制作過程で描いた絵コンテです(写真参照)。
ともだ先生と相談しながら、まず絵コンテを描いて、カメラマンやデザイナーなど制作に携わるメンバーとも誌面の完成イメージを共有して仕事を進められるようにしました。
――この絵コンテは、撮影する前に描くのですか?
【O】そうですね。撮影前にほとんどの構成を決めておくんです。全体のバランスを見ながら、各ページの詳細を考えていくんですが、今回でいえば、例えばマフィンのページだったら、こんな色のこういう質感のクロスを敷いて、こんな形の木の食器にマフィンを載せたらすてきかな、などと想像するんですね。それを絵コンテに落とし込んでいって、写真や文字をどこにどう配置すると見やすいか、といったレイアウトも考えます。それらのアイデアを著者と擦りあわせて、ある程度方向性が固まったら、絵コンテをもとに必要なものを買いそろえていきました。そしてこの絵コンテをたたき台として、撮影当日、カメラマンとも相談しながら撮影していきます。たいへんでしたが、やりがいのある、楽しい作業でした。
【S】私が紹介するものはちょっと地味ですが…級数表(注)です(写真参照)。
パソコンで紙面データを作成する今の時代にあっても、このアナログの級数表が手放せません(笑)。レイアウトを考えるときも、校正をするときも、この文字は何級だろうとか、何級の文字が何文字入るかな、などと見当をつけるときに便利なんです。
――当社は、健康をテーマに、出版物をはじめいろいろなコンテンツを制作していますが、仕事をするうえで心がけていることはありますか?
【S】日ごろからアンテナをしっかり張っておくことです。健康や医療に関する、新しくて人々のためになる正しい情報を、敏感にキャッチできるように努めています。
【O】私は、デザインをディレクションする際に、純粋に自分がわかりやすいとかカッコイイと思える誌面になるように心がけています。もちろん自分の好みだけで進められるものではないですが、クライアント様や読者の方に自信をもってご提案・ご提示できるものを作りたいと、そういう気持ちをもって携わっています。
――今後、どんな本を世に送り出していきたいですか?
【S】こういうレシピ本もそうですが、一度読んだら終わりというのではなくて、何度も開いて活用してもらえるような本を作っていきたいですね。
【O】当社の社長からよく、「人々の暮らしに、本当に役に立つ情報を発信していこう」と言われています。ですから、これは絶対に読者の役に立ちます!と言える本を作っていきたいです。
――最後に、改めて、「この本のPRを30秒でしてください」って言われたら、どんなコメントをしますか? あ、30秒計りますね。どうぞっ!
【O】「太りたくない」「でもスイーツは食べたい」「できるだけ簡単に作りたい」――これ、まさしく私なんですが――この3つが当てはまる人には、ぜひ手に取ってほしい本です。
【S】私からはPRではないのですが、読者の方へのメッセージを、愛をこめて…。
――この本で紹介したスイーツを作って食べるだけでは、本当の意味での糖質オフにはなりません。ふだんの食事でもなるべく糖質を抑えることが必要です。そのあたりのことは、本書をしっかり読んで取り組んでください!
――2人が携わったこの本を、たくさんの読者の方が手にしてくださって、役立ててくれるといいですね。ありがとうございました!