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「うつ病」の治療 基本的な流れは?

わが国では年間約2万2,000人もの自殺者が出ています(平成28年、警視庁調べ)。健康問題が原因で自殺する人の42.1%がうつ病であり(内閣府)、その患者数は100万人を超え、「誰もがかかる心のかぜ」などと生やさしい言葉では片づけられなくなっています。うつ病は治療せずに放っておくと症状が悪化するだけでなく、治療をしても回復が難しくなります。早めに専門医にかかることが悪化や長期化を防ぐために重要です。

さまざまな要因が作用してうつ状態に

 気持ちが沈む抑うつ気分や疲労、倦怠感、食欲不振、睡眠障害などの症状が現れるうつ病は、さまざまな要因が相互に作用しあって発症します。たとえば、その人の性格、ストレスや病気、親しい人との死別、リストラなどの苦しい経験のほか、本来は喜ばしいはずの昇進、結婚、出産なども原因となります。

 人間の脳には120億~150億の神経細胞があり、感情や思考などのさまざまな情報は神経細胞から別の神経細胞へと伝えられていきます。神経細胞と神経細胞は、ごくわずかな間隔をあけてつながっており、この部分をシナプスといいます。神経細胞の末端から神経伝達物質が放出され、この神経伝達物質を別の神経細胞が受け取ることによって情報が伝えられます。

 うつ病の原因はまだはっきりしていません。脳内における神経細胞間の神経伝達物質の働きがかかわっているとみられています。うつ病患者の脳内の状態を調べてみると神経伝達物質のうち、セロトニンとノルアドレナリンの量が極端に減少していることがわかりました。このふたつが不足すると脳内での情報伝達がうまく行われず、うつ状態が起こるのではないかと考えられるようになりました。

神経細胞間における情報伝達の仕組み
神経細胞間における情報伝達の仕組み

うつ治療の基本は精神療法と薬物療法

 一般的に抑うつ気分が2週間以上続けばうつ病の可能性が高いので、精神科か心療内科を受診することがすすめられます。うつ病と診断されたら、治療には精神療法と薬物療法が用いられます。

 代表的な精神療法のひとつに「認知(行動)療法」があげられます。ストレスを抱えていると、物事を悲観的に考えてしまうなど、「認知」に偏りや歪みが生じるようになり、うつ病の発症や悪化の原因になります。「認知(行動)療法」は、さまざまな方法でこうした偏った考え方を修正し、うつ病の改善を図るものです。同時に「起床時間や就寝時間を一定にする」など、生活リズムを整えるように生活指導も行われ、軽度の場合は精神療法だけでかなり改善されることもあります。

 薬物療法としては抗うつ薬を使います。うつ病は脳の神経の病気なので抗うつ薬により神経細胞どうしの情報伝達がスムーズに行われるようにすることが目的です。抗うつ薬には多くの種類がありますが、基本的には1種類の薬を少量からのみ始めます。

 現在主流となっているのはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という薬です。これらには脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの機能を高め、抑うつ症状を抑える効果があります。

経過をみながら通院回数や薬の量を調整

 薬の効果が自覚できるまでに約1~2週間、薬が効き始めてから症状が改善するまでに通常2~3ヵ月程度かかります。その間に副作用が疑われる症状があるときは自己判断で薬を中断せずに担当医とよく相談しましょう。薬の効果がなかなかみられない場合には、別の薬を組み合わせる場合もあります。症状に応じて気分安定薬や抗精神病薬、睡眠薬などを使用して治療効果を高めていきます。

 一般的に治療開始から回復までに1年くらいかかります。また、再発予防のために回復後も半年ほど服薬を続けます。

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