本格的な冬の到来を迎える今日このごろは、冷えた体をお風呂でゆっくり温めてリラックスする人も多いはず。ただ、冬のお風呂ではヒートショックに注意が必要です。
高齢者による入浴時の事故は冬場に多くなります。65歳以上の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数6,458人のうち、「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水」による死亡者数は5,097人にのぼります。この数は、交通事故死亡者数2,150人の2倍以上です。
(参考:厚生労働省「人口動態統計」調査年月2021年)
ただ、入浴時の事故は高齢者だけでなく、若い人でも血圧が不安定な場合などは要注意です。入浴時の事故死につながることもあるヒートショックの対策を今日から始めましょう。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が激しく変動することで起こる健康被害のことです。
心臓から脳に届く血液の量が減少することで失神やめまいを起こし、浴槽内で溺れるといった事故が起こりえます。また、血圧の急変は、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患を引き起こすこともあります。
入浴時に起きるヒートショックの多くは、次のようにして起こります。
まず暖房を効かせた部屋から、気温の低い脱衣所へ移動して服を脱ぐ際、寒さで血管が縮まり、血圧が急上昇します。その後、温かい湯船につかると血管が広がり、血圧が急低下します。
ヒートショックの予防においては、このような血圧の変動を抑制することが重要です。
ヒートショックによる入浴時の事故を防ぐためには、本人が注意することはもちろん、同居人など周囲の人とコミュニケーションをとり、いつもお互いを見守っていられる状況をつくることが大切です。
●自分で防ぐ!
●コミュニケーションで防ぐ!
●住環境の整備で防ぐ!
住宅の断熱性能が低いことで、室内に寒暖差が生じてしまう場合は、暖房の設置やリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。断熱窓への改修は、条件によっては国の補助を受けられる場合がありますので、一度最新の情報を環境省のホームページでチェックしてみるといいかもしれません※2。
自分が入浴中に意識がもうろうとした場合は、浴槽内で溺れないように浴槽の栓を抜きましょう。 また、浴槽でぐったりしている人や溺れている人を発見した場合は、浴槽の栓を抜く、助けを呼ぶ、応急手当をするなど、できる範囲で対応しましょう。
日本気象協会が発表する、ヒートショックのリスクの目安を示す「ヒートショック予報®」も参考に、お風呂での事故を未然に防いで、冬の入浴を安全に楽しみましょう※3。
※1 「気をつけて冬のお風呂の死亡事故」厚生科学指定型研究 入浴関連事故研究班 日本法医学会・日本温泉気候物理医学会・日本救急医学会
※2 環境省「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2024事業)について」
※3 「ヒートショック予報」は、東京ガス株式会社および一般財団法人日本気象協会の登録商標です。
*参考 消費者庁「高齢者の事故に関するデータとアドバイス等」、政府広報オンライン「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!」など