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健康情報を読み解き、正しい医療を受けるには?
これから求められるのはヘルスリテラシー

気になる症状があるときや、病気や医療機関について調べたいとき、今では多くの人がインターネットで検索し、自ら情報を入手します。しかし、そうして得られる情報は非常に膨大。なかには正しい情報もあれば、信用して実行すれば逆に健康に害を及ぼすような間違った情報もあります。そこで重要になってくるのが、健康や医療に関する正しい情報を見極め、それを活用する能力、「ヘルスリテラシー」です。インターネットの世界的な普及とともに、「ヘルスリテラシー」は世界中で注目されるグローバルなワードとなっています。

●執筆協力・監修:聖路加国際大学 看護情報学教授 中山和弘先生

情報を入手、判断、理解し、活用する力

「最近、たびたび頭痛がするんだけど怖い病気じゃないだろうか?」「母親が先週から軽いめまいがすると言っている。病院に行くべき? 何科かな?」「今増えている病気の予防法を知りたい」――こんなとき、インターネットで検索すると、考えられる病名や、その病気に実績のある医療機関、おすすめの病気予防法など、非常にたくさんの情報がヒットします。それらの情報には、公的機関や研究機関、専門家などが発信する信頼性の高い情報もあれば、専門外の人が発信する信憑性の高くない情報もあります。一部には、悪意からわざと間違った情報を織り交ぜたデマも含まれます。

誤った情報を信じて実行したりすれば、かえって健康を害することになりかねません。そうならないためにも、健康・医療に関する情報を入手し、理解・評価し、活用するための知識と能力、つまり「ヘルスリテラシー」がしっかり身についていることが重要です。

「自分は大丈夫。ちゃんとできているよ」という人が多いかもしれませんが、実際には、自分に必要な情報を見つけられない人、適切な情報かどうかを判断できない人はけっして少なくありません。

ヨーロッパ8カ国と日本を比較した*「ヘルスリテラシー測定尺度 HLS-EU-Q47」(HLS-Consortiumをもとに作成)によると、日本のヘルスリテラシーの点数は著しく低いという結果が出ています。これは47項目の質問でヘルスリテラシーを測定する尺度を用いてEU8カ国(オーストリア・ブルガリア・ドイツ・ギリシャ・アイルランド・オランダ・ポーランド・スペイン)と日本の比較調査を行ったものです。日本では1,054名、EUでは8,102名の有効回答を得て分析しました。

この調査はそれぞれの質問に対して、「とても難しい」「やや難しい」「やや簡単」「とても簡単」という4つの選択肢から回答を選ぶ形式になっています。「(とても・やや)難しい」と回答した割合が多いほど医療に関する知識や決定力が不十分とされ、ヘルスリテラシーが低いということになります。たとえば「病気になったとき、専門家(医師、薬剤師、心理士など)に相談するところを見つけるのは」という設問に対して、日本人は「とても難しい」+「やや難しい」と答えた人の割合が63.4%なのに対して、EU諸国は11.9%、その差51.5ポイントと大きな差がありました。インターネットなどのメディアから得た病気に関する情報に頼りながらも、信頼性を判断するのは難しいと思っている日本人が多いことがわかります。

ヘルスリテラシーに関する日本とEU8カ国の比較調査

難しい(「とても難しい」+「やや難しい」)と回答した割合(%)

●ヘルスケア
  日本 EU
病気になったとき、専門家(医師、薬剤師、心理士など)に相談できるところを見つけるのは難しい 63.4 11.9 51.5
医師から言われたことを理解するのは難しい 44.0 15.3 28.7
気になる病気の治療に関する情報を見つけるのは難しい 53.3 26.9 26.4
気になる病気の症状に関する情報を見つけるのは難しい 46.1 22.8 23.3
●疾病予防
  日本 EU
検査のために、いつ受診すべきかを判断するのは難しい 53.2 16.3 36.9
必要な検診(乳房検査、血糖検査、血圧)の種類を判断するのは難しい 52.8 25.1 27.7
メディア(テレビ、インターネット、その他のメディア)から得た健康リスク(危険性)の情報が信頼できるかどうかを判断するのは難しい 64.2 42.1 22.1
●ヘルスプロモーション
  日本 EU
健康と充実感に影響を与えている生活環境(飲酒、食生活、運動など)を変えるのは難しい 63.6 25.5 38.1
住んでいる場所(地域、近隣)がどのように健康と充実感に影響を与えているかを判断するのは難しい 61.8 24.6 37.2
どの生活習慣(飲酒、食生活、運動など)が自分の健康に関係しているかを判断するのは難しい 45.5 12.6 32.9
参加したいときに、スポーツクラブや運動の教室に参加するのは難しい 56.4 24.1 32.3
健康と充実感を向上させる地域活動に参加するのは難しい 64.6 38.9 25.7

*資料提供: 聖路加国際大学教授 中山和弘氏

SNSで間違った情報を拡散しないために事前チェックを

インターネットでは、科学的根拠のない予防法やフェイクニュース、デマとも呼べる情報もたくさん飛び交っています。「これは健康のために(あるいは病気予防に)とても役立ちそうだ」と思える情報を見つけると、「ぜひほかの人にも教えたい」と、善意からSNSで情報を広めてしまう人もいます。

実際、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まったころ、「新型コロナウイルスは熱に弱いので、お湯を飲むといい」「この食品を食べるとコロナの感染予防に有効だ」といった根拠のない情報がSNSを通じて拡散され、信じてしまった人もたくさんいたようです。

誤った情報に惑わされず拡散させてしまわないように、次のポイントをチェックし、判断するようにしましょう。

◎情報を見分けるためのチェックポイント「か・ち・も・な・い」

次の頭文字で覚えておきましょう。

書いた人は誰?
信頼できる専門家でしょうか。とくに、インターネットの匿名情報には注意しましょう。

違う情報と比べた?
ほかの情報源では違うことを伝えているのかもしれません。

もとネタ(根拠)は何?
根拠がないのなら、個人の意見や感想かもしれません。

なんのために書かれたもの?
宣伝のための書き込みの場合もあります。

いつの情報?
情報が古くなっているのかもしれません。

*作成:聖路加国際大学ヘルスリテラシー学習拠点プロジェクト

 

自分が興味をもった健康・医療情報が信頼できる情報かどうかを確認するためには複数のメディアをチェックしてみることです。テレビで見た情報については本やインターネットで確認するなど、複数のメディアで調べてみましょう。公的な機関などの一次情報(最初にそれが発信されたときの一次情報)をさがすことも重要になります。

厚生労働省、文部科学省など国の機関や自治体の機関、大学の研究機関などがホームページで公開している健康や医療に関する情報は、専門家によるチェックが行われており、かなり信頼性の高い情報といえるでしょう。

複数のメディアをチェックし、一次情報に当たるなどの作業をくり返していくうちに、自身の健康情報力も高まり、あやしい健康情報を見分ける力がついてヘルスリテラシーの向上も図れるでしょう。

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