2017年8月
食中毒は1年中発生しますが、夏場は高温多湿を好む、細菌による食中毒がふえる時期です。腹痛、下痢、おう吐といった食中毒の苦しい症状に苦しまないためにも、夏にふえる食中毒の予防のポイントをご紹介しましょう。
食中毒をおこすおもな細菌は、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)、カンピロバクター、サルモネラ、ウエルシュ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなど。
このうちもっとも患者が多いのが、カンピロバクターによる食中毒です。細菌のついた生や生焼けの肉類、肉類に触れた調理器具や手指を介して汚染されたほかの食品を食べておこります。予防のためには、肉類は、中心部が75度以上で1分以上、しっかり加熱調理をすることです。また、サラダなど生で食べるものや、加熱しないで食べるお総菜などに、肉の汁がかからないように注意することも予防になります。
腸管出血性大腸菌、サルモネラなども、肉類による食中毒の原因食品になります。とくに夏はキャンプやバーベキューの機会がふえますが、肉の取り扱いは慎重に行いましょう。細菌は常温に長時間放置すると増殖するので、使用する直前に購入するか、買ったらクーラーボックスなどに入れ低温で保存しましょう。また、購入するとき、持ち運ぶときは、野菜などほかの食品と一緒にしてはいけません。焼くときは、火力を調整して中心部までしっかり火を通し、生焼けを防ぎましょう。
カレーなど、煮込む料理は安心だと思いがちですが、ウエルシュ菌の食中毒の危険があります。ウエルシュ菌は、酸素のないところで増殖するので、深鍋や大鍋などで作られたカレーやシチューなど、粘度の高い煮込み料理の鍋底付近で繁殖しやすいのです。しかも、ウエルシュ菌は、熱に強い芽胞(がほう)を形成すると加熱調理しても死滅せず、食中毒をおこす原因になります。予防のためには、調理の際、鍋底まで空気がいくように底からよくかき混ぜることと、食べきれずに保存する場合は、鍋ごとではなく、厚みのない容器に小分けにして、すばやく冷まして冷蔵・冷凍することが大切です。
おにぎり、サンドイッチなど、素手で扱う手作り料理も注意しましょう。傷口、ニキビ、鼻の中など、ごく身近なところに存在する黄色ブドウ球菌の食中毒の危険があります。化膿した傷口には黄色ブドウ球菌がいる可能性が高いので、手に傷があるときや、手荒れがひどいときは、素手で食品を触らず、ビニール手袋を使用して調理するようにしましょう。
ちなみに、いずれの食中毒も予防のためには、石けんでの手洗いは欠かせません。調理の前、食事の前などこまめに手洗いをすることで、食中毒のリスクはぐんと減らせます。
(編集部 I)