2月に入り、スギ花粉の飛散が始まりました。今シーズンの飛散量は、多くの地域が例年に比べて「やや多い」「多い」となっています。花粉症の人は万全のケアでできるだけ快適に乗り切りましょう。
花粉症は植物の花粉によって引き起こされるアレルギー性の病気で、主に目と鼻に症状があらわれます。目のかゆみや充血・涙目などの「アレルギー性結膜炎」、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった「アレルギー性鼻炎」が代表的な症状で、そのほか喉の違和感や熱、全身の倦怠感といった症状が出ることもあります。個人差はあるものの、花粉が飛散している時期はこれらの症状が続き、ひどい場合は夜眠れずに睡眠不足になってしまうケースもあります。
原因となる花粉は数10種類あるといわれていますが、花粉症患者の約70%がスギ花粉症と考えられています。
花粉症の治療は、毎日の花粉情報を参考にしながら、花粉との接触をできるだけ避けるセルフケアと、症状に応じた薬を使用する薬物療法をあわせて行います。
外出時のメガネやマスク、花粉がつきにくい衣服を着用する、飛散量が多い日は外出を控えるなどが主なセルフケアになります。メガネは通常のもので目に付着する花粉量をおよそ40%減少させ、防御カバーのついた花粉症用のメガネは65%減少させるといわれています。マスクは吸い込む花粉量をおよそ3分の1から6分の1に減らすといわれているので、花粉症用のものを使用して、顔に隙間ができないように着用しましょう。
花粉症の薬には内服薬、点鼻薬、点眼薬があります。主な薬は以下のとおりです。近年は、かつて医師の処方箋が必要だった処方薬を市販薬に転用したスイッチOTC薬が増えています。
<内服薬>
<点鼻薬>
抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、血管収縮薬が市販薬、処方薬ともにあります。ステロイド点鼻薬は、即効性はなく効果が出るまで日数がかかりますが、症状を起こりにくくします。血管収縮薬は鼻づまりを改善する即効性がありますが、連用するとさらにひどい鼻づまりをまねくことがあるので、短期的に使うことが大事です。
<点眼薬>
目のかゆみに用いられる主な点眼薬には、即効性のある抗ヒスタミン薬、アレルギー症状を起こりにくくする抗アレルギー薬などがあります。医療機関ではステロイドの点眼薬が処方されることもあります。
市販薬は配合が様々なので、薬剤師や登録販売者にどんな症状なのかを伝え、自分に合った薬を購入しましょう。また、市販薬で症状が抑えられないときや、毎年、ひどい症状が出る人は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
薬物療法以外では、鼻粘膜焼灼(しょうしゃく)手術といって、アレルゲンに反応する鼻粘膜の表面をレーザーなどで焼く方法があります。これは薬を使いたくない人や、薬物療法で効果が得られなかった人向けの治療法です。花粉のシーズンがくる前に治療を終える必要がありますが、鼻粘膜が再生するのにかかる1~2年ほどは効果を保つといわれています。
また、花粉症を根本から治す「舌下免疫療法」は、連日、少量のスギ花粉のエキスを体内に取り込み、徐々に体を慣らして、アレルギー反応が起こらないように根治を目指すものです。症状が軽減しはじめるのにおよそ2ヵ月かかり、最低でも2年間は治療を続ける必要がありますが、高い効果が認められています。