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  • 冬のかゆみを防ぐには 空気の乾燥で肌の保湿力が低下

空気の乾燥で肌の保湿力が低下冬のかゆみを防ぐには

空気が乾燥する冬は、肌も乾燥し、かゆみが起こりやすくなります。乾燥によって皮膚の外側の角質層や、その表面を覆う皮脂膜に異常が生じるのが、かゆみの起こる原因です。新型コロナウイルスの感染予防のためにも、室内を加湿し、クリームやローションなどの保湿剤を適切に使用して、冬に起こりやすい肌のかゆみを予防・改善しましょう。

乾燥に加齢が加わって乾燥肌に

冬は屋外の空気が乾燥するだけでなく、室内もエアコンなどの暖房を使用することによって乾燥します。皮脂の分泌も減少して角質層から水分が蒸発しやすくなります。

皮脂の分泌は加齢によっても減少し、年齢とともに新陳代謝も低下して皮膚の乾燥を招きやすくなります。中高年以降の人に、冬にかゆみをうったえる人が多いのはそのためです。

乾燥を防ぐ皮膚のバリア

もともと皮膚には、潤いを保つために次のようなバリア機能が備わっています。乾燥によってその機能が損なわれ、かゆみなどのトラブルが起こりやすくなります。

  • 皮脂膜……皮脂と汗でできており、水分の蒸発を防いでいる
  • 角質細胞間脂質……皮膚の外側にある角質細胞と角質細胞の間にあり、水分を閉じ込めている
  • 天然保湿因子(NMF)……角質細胞内にあり、水分を保つ役割を果たしている

冬になるとバリアの働きが低下する

  • 皮脂の分泌が減少する。水仕事や入浴などで流れ落ちたとき、回復が遅くなる
  • 水仕事などをくり返すことによって角質がはがれやすくなり、皮膚が荒れてくる
  • 皮膚の乾燥が進んで角質細胞にすき間があき、刺激物質が入り込みやすくなる

肌荒れ、かさつき、かゆみなどの症状を引き起こす


冬に起こりやすい、代表的な肌トラブル

●進行性指掌角皮症(手荒れ・主婦湿疹)
水仕事を日常的に行うことによって起こりやすい。潤いを守る皮脂膜などの皮膚のバリアが、水仕事や洗剤によって崩れてかゆみが起こる。ひどくなるとひび割れや出血が起こることもある。

●皮脂欠乏症(乾皮症)
すね、太ももや腰、わき腹などにかゆみ、かさつきを起こす。粉をふいたようになり衣服に付くことも。ひどくなると赤みが強くなり、我慢できないほどのかゆみが起こることもある。

*このほか、冬は室内外の温度差が原因となる「しもやけ(凍瘡:とうそう)」も起こりやすい。寒さによる血行障害、皮膚の炎症などにより、かゆみが起こる。

加湿器と保湿剤で肌の乾燥を防ぐ

冬の空気の乾燥は、かゆみなどの皮膚症状だけでなく、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、感染症にかかるリスクも高めます。湿度が低いと鼻の中の粘膜の働きが弱くなり、ウイルスが侵入しやすくなるためです。そこで、かゆみ予防だけでなく、感染症予防のためにも、加湿器を使って室内の湿度を40~50%程度に保ち、空気の乾燥を防ぎましょう。

また、コロナ禍で手洗いの回数が増え、手の乾燥が進みやすくなっています。皮膚の保護のために保湿剤を使うようにしましょう。保湿剤にもさまざまな種類があります。基本的に肌のトラブルが起こらなければ何を使っても問題はありません。医療用の薬と違って厳密に量が決められているわけではありませんが、控えめに塗ると十分な効果が得られないので、たっぷり塗ることをおススメします。

水仕事のときは、皮脂が流れやすい熱めのお湯や、刺激の強い冷たい水は避けましょう。洗剤を薄めたり、シリコンなどの手袋を使うのも有効です。

主な保湿剤のタイプとその内容

  • ワセリン 豊富な油分が皮膚表面の皮脂膜を補う働きをします。リップクリームなどに使われている成分です。
  • 尿素軟こう 角質を溶かしてやわらかくします。皮膚に傷があると刺激を感じることがあるので、傷があるうちは使わないようにしましょう。
  • ヘパリン類似物質 もともと体内にあるヘパリンに似た成分です。皮膚の水分を保つ働きがあり、血行促進や抗炎症作用も期待できます。
  • セラミドを補うクリーム 「角質細胞間脂質」を補強します。軟こうよりもべたつきは軽く、医薬部外品のほか、化粧品のスキンケア製品としてもいろいろな種類のものが市販されています。ヒアルロン酸を配合したクリームなども、同様の効果が期待できます。

かゆみが強い場合は、ジフェンヒドラミン塩酸塩などの成分を配合した市販薬が向く場合もあります。薬局やドラッグストアで、薬剤師や登録販売者に相談するとよいでしょう。

乾燥対策に努め、保湿剤をしっかり使っても症状が抑えられない場合は、皮膚科を受診しましょう。詳しい診断を行ったあと、ステロイド外用薬を含め、症状に合わせた薬が処方され、症状の改善が図られます。

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