肥満を放置すると糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の発症・原因となります。一般的に食事から摂取するエネルギー量が消費するエネルギー量を上回ると、消費されずに余ったエネルギーが脂肪としてたまり、肥満になります。中年以降になると基礎代謝量が低下するため、若いころと同じ食事をとっているとどうしても太りやすくなってしまいます。
食事から摂取したエネルギーの一部は脂肪に形を変え、貯蔵用のエネルギーとして脂肪細胞に蓄えられます。食べすぎや運動不足で余ったエネルギーは、下腹部やお尻、太ももなどの皮下や内臓の周囲に蓄積します。これらの部位には脂肪細胞が集まった脂肪組織が多くあります。
脂肪細胞は、体の機能を整えるさまざまな生理活性物質やホルモンを放出しています。その中の1つ、レプチンは脳に働きかけて食欲を抑え、体内の脂肪を一定量に保つ働きをしているのですが、脂肪細胞に脂肪がたまり過ぎるとレプチンの働きが弱くなってしまいます。すると、食欲を抑えきれずに食べすぎてしまい、肥満の進行に拍車をかけてしまうのです。
現在わが国では、成人男性の約3割、成人女性の約2割が肥満とされています(厚生労働省調べ)。内臓脂肪型肥満(腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上)、あるいはBMI*(体格指数)が25以上の肥満の人は、まず体重の3%減を目指しましょう。
「それだけでいいの?」と思うかもしれませんが3%減らすだけでも、さまざまな健康効果が望めます。健康的にやせるためにおすすめしたいのは、3~6ヵ月間かけて体重の3%を減らすダイエット法です。体重80kgの人なら3%は2.4kg減となります。半年内に2kg程度のダイエットなら、やればできると思いませんか。
●1日1回体重を量りましょう
毎日、体重を量ることを習慣にしましょう。体重などを記録することで、体重が増減する原因に気づくことができます。
体重を記入する折れ線グラフなどを使用することをおすすめします。記録用紙はいろいろなタイプがインターネットのサイトで公開されているので、それらを利用すると便利です。毎日同じ時間、同じ条件下(おすすめは朝起床して排泄した後、朝食をとる前)で量るようにしましょう。
肥満の原因は、たいてい生活習慣のなかにあります。体重が増えた場合、「前日に飲み会があった」「夜遅い時間に○○を食べてしまった」「休日をほとんど外出せずに過ごした」など、原因になったと思われる内容も記入するようにしましょう。体重増加の原因がわかれば、それを改善することで太りにくい生活を送ることができます。
●ご飯は1~2口分を減らしてみる
食べすぎを防ぐためには、ご飯の1~2口分に相当する50gほどを毎食減らす習慣をつけるとよいでしょう。これを減らすだけで、1日の摂取エネルギー量を200kcal以上減らすことができます。1ヵ月間では6000kcal以上になります。
毎日の摂取エネルギー量を200kcal減らした場合、体重は1ヵ月間で0.8kg減少します。3ヵ月間続けると2.4kgの減少となるので、80kgの人であれば、ちょうど体重の3%を減らすことができます。
●こまめに動いてエネルギーを消費する
健康ダイエットには、運動も欠かせません。最初は日常生活に取り入れやすい運動を習慣にしましょう。デスクワークの多い人は、30分に1回立ち上がって歩くだけでも運動になります。
ウオーキングなどの有酸素運動は内臓脂肪を減らす効果が高く、階段上りは筋肉を鍛える効果があります。こまめに続けることで筋肉がつけば基礎代謝量が上がり、やせやすくなります。
できるだけ運動を積極的に取り入れてみましょう。ウオーキングの発展形としてジョギングや水泳などを実践すれば、運動量がアップし、さらに効率よくやせることが可能になるでしょう。
*計算方法 BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)