就寝中、排尿のために1回以上目が覚めてしまうのが夜間頻尿です。加齢とともにその頻度が高くなります。これが続くと不眠気味になり、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。

夜間頻尿が起こる原因は、主に次の3点があげられます。
●多尿・夜間多尿……1日の尿量が多くなって夜間頻尿が起こるものです。成人の場合、1回の排泄尿量は通常200~400mLほどで、1日の総量となると1,000~2,000mLほどになります。それが2,500~3,000mLになると多尿と診断されます。
通常、夜の間は「抗利尿ホルモン」の働きにより尿の量が抑えられるのですが、加齢に伴ってこのホルモンの分泌が減ることで頻尿が起こりやすくなります。高血圧や心不全、腎機能障害などの病気の影響も考えられます。
●膀胱の容量が減少……加齢などによって膀胱の筋肉がしなやかさを失って容量が減ると、頻尿になることがあります。突然強い尿意が起こる「過活動膀胱」や「前立腺肥大症」(男性特有)なども原因となります。
●睡眠障害……眠りが浅くなると夜間にたびたび目が覚め、トイレに行きたくなります。
日常生活に支障が出るなど、夜間頻尿が深刻な場合は泌尿器科の受診をおすすめします。泌尿器科では問診や診察、尿検査などを行い、他の病気の有無も診断します。
排尿のたびに尿量を測り、排尿した時刻と尿量(目盛り付き容器などで測定)を2~3日記録するものです。記録をとることで昼間と夜間の尿量、1回の排尿量、排尿の多い時間帯などがひと目でわかります。1回の排尿の目安は200~400mLとなります。
夜に何回もトイレに起きる人で、1回の排尿量が通常どおりなら多尿、または夜のみに尿量が多くなる夜間多尿が考えられます。昼も夜も頻尿がある人で1回の尿量が少ないなら、膀胱容量の減少が疑われます。
●水分の摂取量を調整
水分のとり過ぎで頻尿になっている場合は、水分の摂取量に気をつけるようにします。「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版](修正・追加2024)」(日本排尿機能学会/日本泌尿器学会編)においては、1日の飲水量と尿量を調べて1日の尿量が体重1kgあたり20~25mLになるようにすすめています。個人差や熱中症対策もあるので、あくまでもひとつの目安にするとよいでしょう。
●塩分のとり過ぎに注意
濃い味を好む人は塩分の摂取量が多く、のどが渇いて飲水量が多くなるうえ、体内のナトリウムを排泄するために尿量が増えます。塩分のとり過ぎは高血圧の原因にもなるので、塩分のとり過ぎには注意しましょう。
●むくみを予防する
下半身に水分がたまってむくみが生じていると、横になったときに下半身の水分が心臓に移動し、血液の循環量が増えます。するとつくられる尿量が増えます。脚などがむくむ人は日中にむくみ予防のストッキングをはいたり、脚を高くして休憩するといいでしょう。
●ウォーキング
下半身にたまった水分の循環を促したり、余分な水分を汗として排出するのに役立ちます。夜間の排尿回数を減らすために夕方の時間帯に30分間程度、汗ばむ程度の速さで歩けば、水分によるむくみが解消しやすくなります。
ゆるんだ筋肉を鍛えて、過活動膀胱の症状を改善させるためのトレーニングです。
①あおむけになって足を肩幅ぐらいに開き、両膝を少し立てて、腕は体の横におく。リラックスして体の力を抜く
②おならをガマンするイメージで肛門を締める。そのまま、女性は膣と尿道、男性は陰茎の付け根を締め、引き上げるようにする
➂引き上げたまま、10秒数えて力を抜く。

以上の動きを1日1セット、10回くらい繰り返します。
●多尿・夜間多尿の場合
夜間の尿量を抑える「デスモプレシン」が使われます。腎臓で水分を血管により多く吸収させ、尿を濃くすることで、尿量を減らします。
●過活動膀胱の場合
膀胱の収縮を抑えて強い尿意をやわらげる「抗コリン薬」、膀胱の緊張をやわらげてためられる尿量をふやす「β3作動薬」などを使用します。
●前立腺肥大症の場合
前立腺や尿道の筋肉を緩める「α1遮断薬」「PDE5阻害薬」などを使用します。
参考:日本泌尿器科学会、日本排尿機能学会による公表資料