夜寝ているときや伸びをすると足がつって激痛が起こることがあります。この言葉にできないほどのモーレツな痛みに、夜中に布団の上でもん絶したという人もいるのではないでしょうか。急に足がつってしまうのは筋肉の縮み過ぎによるものと考えられます。症状が起こらないようにするためには日ごろからどのような対策をたてればよいのでしょうか。
「足がつる」ことは、医学的には「有痛性筋けいれん」と呼ばれており、原因ははっきりしていませんが、筋肉の疲労と神経のトラブルだと考えられています。
通常筋肉を動かすと、常にどれくらい伸びているかを中枢神経(脳や脊髄神経)に伝えています。それに応じて中枢神経が「これくらい収縮してください」という信号を送り、筋肉が受けて正常な状態を保っています。この信号の伝達に何らかのエラーが生じると、筋肉が過度に収縮してしまい、筋肉に大きな力がかかって痛みが生じます。
足がつる原因として考えられるのは、激しい運動をしたことによる筋肉疲労、たくさん汗をかいたことによる水分不足やミネラル不足、加齢、冷え、ストレスなどです。
いつもより強度の高い運動をすると筋肉が疲労し、神経系で調節されている筋肉の張りがうまくコントロールできずに足がつります。また運動中にたくさん汗をかくことでミネラルや水分が失われて症状が起こりやすくなります。
中高年による加齢では筋肉量の減少や血行不良でつりやすくなり、冷えでも筋肉が緊張して血流が悪くなって症状が起こりやすくなります。
慢性的に足がつるというなら、ストレスで交感神経が緊張しているおそれがあります。交感神経は血管の収縮を促して血行を促進させますが、強いストレスを感じると交感神経が緊張して血行障害となり、筋肉の調整がうまくできなくなって症状が起こりやすくなるのです。
症状が出ないようにするためには日ごろから運動習慣をつけて筋肉を鍛えて、ストレッチなどで血行を促すようにすることが大切です。また水分やミネラルを十分に摂取すると、筋肉が疲れにくくなります。寝る前にコップ1杯の水を飲むようにしたり、ミネラル不足を補うためにマグネシウムを多く含む食品(ワカメ、しらす干し、あおさ、切り干し大根、ごま、ナッツ類など)を意識してとるようにしましょう。また漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は足のけいれんに有効とされています。成分量が少ないものは市販での入手が可能なので、気になる人は薬剤師に相談してみましょう。
足がつった場合は次のように筋肉を伸ばすようにしてください。
筋肉を伸ばして対処
➀つま先をつかんで、すねのほうにゆっくりと引きふくらはぎを伸ばす
➁つったほうの足を立膝にし、両手でつま先とかかと持つ。そのままゆっくり前方に体重をかけ、ふくらはぎを伸ばす
➂壁に両手をつき、体重をかけながら、つったほうのふくらはぎを伸ばす
(参考:日本医師会「健康ぷらざ」より)