難聴といえば主に高齢者に起こるもの(加齢性難聴)と思いがちです。しかし、近年はヘッドホン(イヤホン)で大音量かつ長時間音を聞き続けることが起因する「ヘッドホン・イヤホン難聴」が若い世代に拡大しています。自覚症状に乏しく、ゆっくりと進行するため、日ごろから耳に負担をかけない聴き方を心がけましょう。

難聴にはいくつかの種類があり、その中でも「音響性難聴」は爆発音やコンサート会場などの大きな音にさらされる、またはヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることが原因で起きます。このヘッドホン・イヤホンの使用で起きる難聴が「ヘッドホン・イヤホン難聴」と呼ばれ、若年層に広がりつつあると懸念されています。
急に音が聞こえにくくなるということはありませんが、自覚しないまま何年もかけて着実に聞こえにくくなっていきます。このほかにも耳閉感(耳が詰まったような感覚)や耳鳴りなどの症状もあり、重症化によって失った聴力は現在の医療では回復が困難です。
WHO(世界保健機関)では、世界で10億人以上の若年層が難聴のリスクにさらされていると推測しています※1。日常生活の様々なところで使われるヘッドホン・イヤホンですが、耳に負担のかかる使い方を続けているとその反動は将来の自分へと返ってきます。
原因として考えられるのがヘッドホンやイヤホンの構造です。耳から入った音は、内耳の蝸牛という器官にある有毛細胞で振動を電気信号に変換し、脳に伝わります。ヘッドホンやイヤホンは耳を密閉した状態で音を聞くため、音が内耳に集中的に届き、有毛細胞が傷ついてしまいます。このため長時間大きい音を聞き続けると、耳にダメージが蓄積されていきます。
ヘッドホン・イヤホン難聴のリスクには、「音の大きさと耳がその音にさらされている時間」が関係します※2。
●音量の調節:ヘッドホンを使用する際は、音量を必要以上に大きくせず、最大音量の60%以下で使用することを心がけてください。
●環境の整備:周囲の騒音により音量を上げてしまいがちな方はノイズキャンセリング機能があるヘッドホン・イヤホンを使ってみましょう。
●耳の休息:音量が小さくても長時間聞き続けることで耳に負担がかかります。目安として1時間に10分の休憩を挟み、耳を休ませることを意識しましょう。
WHOでは、難聴のリスクを回避する音の聞き方として、こども(若年層)は週40時間で75dB(例:目覚まし時計)、成人は週40時間で80dB(例:地下鉄の車内)を限度とする基準を発表しています※3。ヘッドホン・イヤホンを使うことが習慣化している人は、今からこの習慣を見直してみませんか。
参考文献
※1 WHO(世界保健機関)
※2 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
※3 WHO(世界保健機関)
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム